「慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)」は、ある日突然原因不明の強い疲労感が始まり、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。
名前から「ただの慢性疲労」「誰にでもあるような疲労感を強く訴える病気」のように誤解されてしまいがちですが、その背景には身体や脳に様々な機能障害が生じていることが分かってきています。
その疲労感は、「何となくダルイなぁ」「最近疲れやすくて」のような日常的な疲労とは違い、起き上がれないようなしんどさが長く続きます。
筋肉痛、筋力低下、頭痛、集中力の低下、微熱、リンパの腫れなどが認められることも多く、休養だけでは回復しません。
慢性疲労症候群には、具体的にどのような症状があれば病的な「慢性疲労」となるのかガイドラインがあり、以下のうち5つ以上の症状があることが基準になっています。
- 十分に休んでも、24時間とれない疲労
- 筋肉痛
- 多発する関節痛(腫れはない)
- 頭痛
- 喉の痛み
- 睡眠障害(不眠・過眠・概日リズム障害)
- 思考力・集中力の低下
- 微熱が続く
- 首のリンパ節の腫れ
- 筋力の低下
上の症状が5つ以上あれば、病的な「慢性疲労状態」と考えられますが、「慢性疲労症候群」と診断されていない方でも、ご自分で「このわけのわからない疲れや症状から抜け出したい」と思う方はご相談いただきたいと思います。
慢性疲労症候群と間違いやすい病気
- COPD(肺気腫)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 肝臓・腎臓・心臓の病気
- 慢性感染症(B型肝炎・C型肝炎・AIDSなど)
- 膠原病
- リウマチ
- 多発性硬化症などの神経疾患
- 糖尿病
- 甲状腺疾患
- 下垂体機能低下症
- 更年期障害
- 睡眠障害(概日リズム障害・睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなど)
- 気分障害(うつ病・双極性障害など)
- 不安障害(身体症状症・全般性不安障害など)
病的な疲労感やだるさが続く病気は数多くありますので、まずは精密検査を受けて上記のような疾患が無いかを確認してください。
上記の病気が判明した場合は、漢方でも違う治療法となります。
病的な疲労感の原因が他の病気ではないと確認されれば、「慢性疲労症候群」ということになりますが、慢性疲労症候群に他の病気が合併していることもあります。
合併症の多くはストレスの関与が強く、持続するストレスが慢性疲労症候群や、他のストレス性障害を引き起こすと考えられています。
身体の病気との合併症
- 過敏性腸症候群
- 機能性胃腸症
- 月経前症候群
- 片頭痛
- 顎関節症
- 線維筋痛症
精神の病気との合併症
- うつ病
- 不安障害
慢性疲労症候群の原因
今では、単なる疲労とは区別されています。
- ストレス
- 過去のウイルス感染
の2つのかかわりは大きく、ここから免疫異常がひき起こされ、全身の機能低下に影響すると考えられています。
長期間ストレスがかかり続けると、体の抵抗力が落ちて免疫機能が低下し、過去の感染後体内に残っていたEBウイルスなどが再活性化します。これによってサイトカインという免疫物質が過剰に作られます。
このサイトカインはウイルスと戦うために必要な物質なのですが、過剰になると脳などにダメージをあたえます。脳の機能を低下させ、倦怠感や疲労感を引き起こす原因になってしまうのです。
※EBウイルスとは、唾液に潜んでおり、発熱やリンパ節の腫れなどの急性感染症を起こします。
当薬局の考え方
慢性疲労症候群は、長い間の生活習慣や職場環境などからのストレスで、自律神経の乱れや体・脳に疲弊が起こり、自分の力だけでは立て直せない状態になって起こっています。
免疫を立て直し、身体の治る力を助け、脳の緊張を緩和していく必要があります。
- 脳の緊張を緩和する漢方薬・漢方食品
- 細胞の代謝を助ける栄養分・ミネラルを含むサプリメント
- 体にたまった老廃物を排泄する助けをする漢方薬・漢方食品
- 免疫を立て直す助けをする天然食品
などを組み合わせて、治っていくお手伝いをします。
それと同時に、食事や生活習慣の見直しもお話しさせていただきますので、ぜひ、ご相談ください。